旅行業にて長年仕事をしてきた筆者の個人的な感想でもありますが、旅にでよう!って決めた時から出発日までに行うことの作業の中で、私にとって最も楽しいことの一つは間違いなく目的地の情報収集と必要なサービスを選ぶこと。旅先の情報、列車やバスのダイヤル、ホテル事情、ルートを考えたり、移動手段を選んだりしながら、たくさんの写真を見ては期待に胸が日に日に膨らんでいく・・・。私はそのプロセスがとても好きです。その中でも、とても重要な作業の一つが旅の宿選び。旅先での宿は、有効に時間を使ってやりたいことを存分にした後、ゆっくりと休める場所、たとえ数日の間であっても帰る場所となるとても大切な要素。マイホームとまでは行かなくても、誰もができる限り自分の価値基準に一致する、心地良い滞在のできる宿に出会いたいと願っているはずです。

今回のスペインの扉では「旅の宿」、スペインのホテルのカテゴリー、種類についてスポットを当ててみようと思います。

 

 

まず知っておきたいスペインの宿泊施設のタイプ

 

旅の宿を選ぶ時のあなたのこだわりはどんなポイントですか?

贅沢でなくても清潔で眠れればいい。

バスタブははずせないアイテム。

移動距離や荷物を考えると駅から徒歩で10分以内は譲れない…。

 

私がお客様のためのホテルを選ぶ時、こういったお客様のこだわるポイントを出来るだけ細かく事前にお伺いして、その中からベストと思われるいくつをピックアップしてから一度お客様にも吟味していただき、最終的に一緒にホテルを選ぶ方法をとるようにしています。なぜなら仕入れ側の都合でお客に宿の押しつけたくないですし、旅の目的、移動手段、個人の好み、シーズン、場所、一人なのか同伴者がいるのかなどに、よってもいろいろと判断材料が異なってくるからです。(もちろん団体様、グループ旅行の仕入れとなると、今度は仕入れ側の条件が厳しくなっているため全てがお客様のご希望通りには行かないことも多々あります。)

宿の質・料金を決定する価値基準や法律はお国によって様々。スペインにもホテル、パラドール、オスタル、カサ・ルラル、ペンション、アパートホテル、ツーリストアパートメント、ユースホステル、B&B、アルベルゲ、キャンプ場バンガロー、最近ではAirbnb等、こうして並べてみると本当に色々な種類の宿があることがわかりますね。

また地方によっては独自の宿泊施設タイプを持つところもあります。たとえばガリシア地方ではPOZOS(ポソ)、アストゥリアス地方ではCASONAS(カソナ)、カスティーリャ・イ・レオン地方ではPOSADAS(ポサダ)、エストレマドゥーラ地方、カスティーラ・ラ・マンチャ地方、アラゴン地方ではHOSPEDERIAS(オスペデリア)、アンダルシア地方ではHACIENDAS(アシエンダ)またはCORTIJOS(コルティホ)、カタルーニャ地方ではMASIAS(マシア)と呼ばれる宿泊設備がそれに当たります。これらの多くはその地方の裕福層の民家であったり古城であったりと、地方独自の建築様式、生活様式、歴史・文化が反映されていて、そこでの滞在はとても貴重で優雅な気分になれるはずですよ。

 

筆者個人の経験では、20代前半は経済的な理由から市内にあるオスタルに泊まることが多かったのですが、仕事でスペイン国内を旅行するようになると3星~5星と、基本3星以上のホテルやパラドール、時にカサ・ルラルなどに泊まることが増えました。20年以上スペインのあちこちを旅行してきた経験を通しての個人的な感想は、スペインのホテルの質は平均的に高いということ。星の数だけでは宿泊設備のよしあしの判断はつけにくいとも言えると思います。

全ての宿泊設備は、営業開始前にどのタイプで、どのランクとして営業するのかを認定する義務があります。Airnbnやツーリストアパートメントと謳っている宿泊設備の中には営業許可を受けていないものもあるようで、近年旅行業界でも大きな物議を醸しだして出しているので注意が必要です。

 

 

 

ホテルの星の数はこうやって決められる

 

スペインではホテルやオスタル、アパートホテルは星の数、ツーリストアパートメントは鍵の数というように、全国共通でカテゴリーのランクを示すシンボルが使われています。また前述の地方独自の宿泊設備やカサ・ルラルという古民家を改修した設備になると、地方ごとにシンボルが決められているのが面白いですね。たとえばカタルーニャ地方では麦の穂、マドリードではオークの葉、アンダルシアではオリーブの実といった具合です。ちなみに中央政府にも全国の宿泊設備を管理する機関はもちろんあって、シンボルを統一する目的で「Q(Quality)」というシンボルを提案していますが、一部の設備が賛同しただけで、まだまだ全国で浸透しきっているという状況ではないようです。ここにもスペインの多様性が見て取れてとても興味深いですよね。ちなみにこのQという“政府も認める品質”マークは、宿泊設備だけでなく、飲食業界などにも適応されます。2016年にはファーストフードのお店にもQマークがつけられて話題となりました。

 

さて★星の数で品質とサービスのランク分けがされているホテル。そのランクは1星~5星まであり、5星カテゴリー内では更にGran Lujo(グラン・ルッホ)という最上級クラスもあります。スペインの場合、ランクの基準は国が決めるのではなく、国内の各地方州政府が独自の判断で確定しています。ですから同じランクのホテルなのに都会と地方とでは時に「え?本当に同じ星の数のホテルなの?」と思うこともあるかもしれませんが、概ね大きな差はあまり見られません。

それではどのような基準でランクわけされているのか見て行ってみましょう。

 

1☆ホテル

  • 最低表面積:ダブルルーム -12㎡  /  シングルルーム -7㎡
  • 専用バスルーム(バスタブまたはシャワー、広さは最低3,5㎡)と暖房器具
  • 建物内にエレベーターを有していること。

 

2☆ホテル

  • 最低表面積:ダブルルーム -14㎡  /  シングルルーム 7㎡
  • 部屋内に専用バスルーム(バスタブまたはシャワー、広さは最低3,5㎡)と暖房器具
  • 建物内にエレベーターとレセプションには貴重品を預かるセーフティーボックスを有していること。

3☆ホテル

  • 最低表面積:ダブルルーム -15㎡  /  シングルルーム 8㎡
  • 部屋内には専用バスルーム(バスタブまたはシャワー、広さは最低4㎡)、専用電話、暖房設備完備
  • 建物内にエレベーターと金庫(貴重品の保管サービス)、バルを有していること。
  • ロビーや廊下など共通利用ゾーンではエアコンを完備していること。

 

4☆ホテル

  • 最低表面積:ダブルルーム -16㎡  /  シングルルーム 9㎡
  • 部屋内に専用バスルーム(バスタブシャワー、最低4、50㎡)、専用電話、冷暖房設備、ミニバー、専用貴重品金庫完備
  • 建物内にはエレベーター完備
  • 館内全体冷暖房設備が完備

 

5☆ホテル

  • 最低表面積:ダブルルーム -17㎡  /  シングルルーム 10㎡
  • 部屋内には専用バスルーム(バスタブシャワー)は最低5㎡、専用電話、冷暖房設備、ミニバー、専用貴重品金庫完備
  • 建物内にはエレベーター完備
  • 館内全体冷暖房設備が完備されていること。

 

※補足

上記ホテルのカテゴリー分けについては、Confederación Española de hoteles y apartamentos turísticos  に掲載されている資料を元に執筆しております。

 

 

 

最近のホテル事情と傾向

 

スタンダードの基準がこのようになっています。但し、これに各自治州政府の判断で手が加えられているので、100%このサービスが徹底されているわけではありません。たとえば、周辺すぐにバル、レストランがたくさんあるようなホテルでは、部屋内にミニバーは設置されているけれど中身は空っぽ、なんていうケースもたくさん見てきました。

また、最近では街角から公衆電話が消えてなくなってしまったように、部屋内に電話は残っているけれど外線は掛けられない、なんていうホテルも見かけました。その代わり、WI-FIが部屋内、またはロビーやカフェなど共通ゾーンで無料(または有料)で利用可能というホテルも、カテゴリーに関わらずスタンダード化してきています。

 

ホテルの星の数は、宿を選ぶ際の大きな指針になることは間違いありません。ただし、5星に値する設備や広さを有しているのに、料金を上げたくないとか共通スーペースがスタンダードから30cm幅が足りない、とかいう理由で5星にしていないすばらしい4星、または3星のホテル(この場合は4星に相応しいのに)なども結構あります。逆に、これで本当に5星?!と少し驚くケースも。特にマドリードやバルセロナの市内中心にできた、比較的新しいブティックタイプの5星ホテルには、スタンダードぎりぎりの広さの部屋のものが多く、広い部屋を期待して5星にしたのにがっかりする、、、なんてこともあります。私の感覚ですと、4星以上のホテルで部屋の広さが20㎡以下だと狭いな、と感じてしまいますが、皆さんは如何ですか?

また、スペインホテル事情で特筆することは、ここ十年以上前から、バスタブがホテルから消えていっている、という点。

いろいろな事情があるのでしょうが、多くのホテルは:

  1. バスタブでシャワーを浴びたりするとこけたりして危ない
  2. スペインは万年の水不足なので、お風呂はエコでない
  3. 利用客の国籍を統計で見ると、シャワーの習慣の利用客のほうが圧倒的に多い
  4. バスタブで水を溢れさせたりする事故が多い

などというコメントをしています。郷に入れば郷に従え。お風呂はスペインの旅を終えて、日本に帰ってから入りましょうか?

 

 

今日も最後まで読んでいただき有難うございました。

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トップページ 写真:©Carlos ZGZ