スペインでシェフという職業はどう思われているか

by 土屋 寛子

こんにちは!

今回も前回に続いて、、前回のだめだめ編と変わって、目からうろこが落ちるほど感激した旬の食材、ホワイトアスパラガスとの出会いについて書こうと思ったのですが、書き進めているうちに、どうも違う方向に行ってしまいました。ですので今回は予告から外れて、今のスペイン国内のシェフという職業はどう思われているかについてちょっぴり触れたいと思います。

 

料理番組を巡る視聴率獲得競争は年々激化

スペイン料理の人気は世界中で年々高まっていくばかり。

まだまだイタリアンほどでないとしても、日本国内でもハイレベルのシェフが競ってスペイン料理を振舞っていますよね。当然、スペイン国内でも、消費者の舌が肥え、ミシュランの★を保持するスターシェフの人気が高まるにつれ、テレビでの料理番組、料理コンテスト関連番組の放映時間も比例して年々長くなっていっているように思えます。

たとえば、数年前から視聴率を巡って競争が高くなっているテレビ番組にはこんなのがありますよ。

Top Chef :公式ウェブサイトはこちら

Antena3が企画するこの番組は今年で4年目。料理の腕を競うコンテスト。スペイン国内のトップクラスシェフが辛辣ながらも正当に参加シェフの腕を磨き成長させるためのアドバイスや評価を行い、優勝者達は確実に番組出演後トップシェフの仲間入りを果たして来ています。

Master Chef:公式ウェブサイトはこちら

Television Española(RTVE-ウィキペディアの日本語の案内ページがあります。興味のある方はこちらから)が企画するこちら番組は今年で5番目。テレビで料理の腕を競うコンテストスタイルの番組の先駆け的存在と言えます。

26歳でミシュランの★を獲得した、スペイン国内では最年少、世界では二番目の若きスターシェフ-ジョルディ・クルス(現在は2つの★を保持)が審査員として参加しているだけあって審査はとぉっても厳しい。でもその厳しさに応じようと大の大人が時には涙を流しながらも料理界の上を目指す、プロのシェフ達のまさにスポコン的な涙と汗の物語は見ていて感動します。

そしてこの番組の子供版がJunior Master Chef: 公式ウェブサイトはこちら

右側が審査員のトップシェフ達。一番奥の紺色のジャケットの男性がジョルディ・クルス。

このジュニア版がまたいい!!トップシェフを目指す志は11歳、12歳の少年少女であって大人と変わらず熱く、真剣度、本気度200%。

他の参加者に負けたり、厳しく評価された時、自分の本領が発揮できなかったと自分自身が実感した時の子供達の頬を伝い落ちる涙がまた美しいのです。ある意味高校野球児の流す涙に通じるものがあるかも知れません。この番組を見始めて、好き嫌いが減った、食材に興味を持つようになった、料理をすることに積極的になったという一般家庭での相乗効果も抜群のようです。

 

世界で評価されるトップシェフが若者に与えてきた影響

「将来の夢は?」という問いには十中八九の子供が「サッカー選手や動物のお医者さん」と答えるような世の中に、少しずつ「スターシェフになりたい」という子供がいるようになりました。これには前述のテレビ番組の影響が大きいのは疑いようもないですが、90年代になって国も豊かになり、バル文化からレストラン着席スタイルでも家族でテーブルを囲む機会が増えたことや、シェフとは単なる料理人でなく芸術性、創造性、経営者としての知識も要求される厳しい難関という面にも多く言及されるようになり、挑戦者の気持ちを駆り立てる分野に変わったこともきっと理由の一つではないかと筆者は思っています。

20世紀、21世紀の料理界でもっとも影響を与えた人物トップ10として評価されている天才シェフ-アドリア・フェラン氏(伝説のレストラン-エル・ブジの共同経営者兼料理長)は、ABC社新聞のインタビューで興味深い体験談を語られていました。

賑やかなバルセロナ市の人気スポット-ラ・ランブラス通り。

賑やかなバルセロナ市の人気スポット-ラ・ランブラス通り。

バルセロナ市内のランブラス通りを散歩していたときに、見知らぬ人から「あなたの影響を受けて、息子はシェフになったんですよ。私は息子には是非建築家になってもらいたかったのに。だから長い間あなたのことがどうも好きになれなかったのですが、こうして会ってみるとずいぶん素敵な人だったのですね。気に入りましたよ。」 と言われたことがある。ずいぶんひどい思い込みだよね。

 

スペインの母の味は現在のトップシェフ達の源流

前述のジョルディ・クルス氏もそうですが、世界の一流レストラン「El Celler Can Roca」を経営するロカ3兄弟、2017年現在スペイン国内で唯一ミッシュランの★を8つ保持するトップシェフ-マルティン・ベラサテギ氏などが皆、お母さんの味を徹底的にDNAと記憶に植えつけて幼少期を過ごし、料理に自然に目覚めていったと、多くの雑誌やインタビューなどで語られています。

オリジナルの創作料理、レシピ、料理法の開発を目指す前に、まずはおいしい手料理、愛情のこもったお母さんの味をたくさん覚えること。こうしてますますスペイン料理のこれからの発展が楽しみになっていきますね。

★El Celler Can Roca の公式ウェブサイトはこちら

★マルティン・ベラサテギ氏監修の料理が食べられるバルセロナのレストラン-Lasarteの公式ウェブサイトはこちら

今日も最後まで読んでいただき有難うございました。

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