スペイン最高峰 ガストロノミーフェア ~マドリードヒュージョン~

by 土屋 寛子

マドリードヒュージョン

美食の国、スペイン。

美食という言葉がスペインの枕詞のように使われるようになってからもうずいぶんたったような気がします。また世界的レベルでガストロノミーを語るにおいてスペイン抜きでは始まらないほど、世界がスペイン料理の動向に注目していますね。

そんなスペイン料理界の最新動向を間近で知ることができるガストロノミーフェアの中でも最高峰にあたるマドリードヒュージョン(MADRIDFUSION)。一体どんなことがフェアでは起こっているのでしょう。

長年気になり続けた、世界でも注目度のとても高いガストロフェアについにスペインの扉も足を運んできました。

 

世界中の料理界の大物が集約する食の祭典

2003年に始まって以来、毎年マドリード市内の国際会議場にて1月半ば~2月初旬の3日間に開催される食の祭典マドリードヒュージョン。2003年~2005年初期3年間はとにかく狭き高級レストラン業界に属する料理人による料理人だけのフェアという色合いが強く、開催国スペインと日本に限ると、この3年間はスペイン料理を世界レベルに知らしめることになった大立役者フェラン・アドリアンを筆頭にマルティン・ベラタセギ、フアン・マリ・アルザック、松久信行、服部幸應、和久田 哲也(敬称略、順不同)など錚々たるメンバーによるデモストレーションを中心に、ガストロノミーの現状、将来、傾向などについてのディスカッションが展示会場と会議場内の会議室などで繰り広げられていたようです。

 

フェアメイン会場内に設置されたイベントステージ。

フェアメイン会場内に設置されたイベントステージ。

 

2003年の初回から13年。フェアのコンセプト、規模も変化を遂げて、2015年の今年は初期のころのように著名なシェフによるデモストレーションはフェア会場に入場するだけではもう見ることができなくなっていました。入場券とは別口でトップシェフによる工房への参加券を購入しないと見ることができなくなっていて、ある意味ますます狭き門になってしまったトップシェフの見出したテクニックと知識へのアクセス権。でもきっとそれは、逆に言うとこのフェアがそれだけ注目されてきて、お金を払ってでもそのテクニックを学びたいという料理人たちの参加が増えたということなのでしょうね。

 

フェアメイン会場内には何があるの?

広い国際会議場内には今年は150以上の料理業界関連企業がブースを出していて、それぞれが個性豊かな企業コンセプトと商品、サービスを紹介していました。

各ブースでは商品のプロモーションをしていたりショークッキングやデモストレーションをしていたり。

多くのブースは食品、食材が中心だったのでブースの間を行ったりきたりの食べ歩きです。

 

フルーツソース

既成のフルーツソース数種。高級レストランだからといってすべてが手作りとは限らないのですね。

 

子供の頃、デパートの地下の食料品売り場で高級食材の試食ができた時とてもうれしかった、なんていう記憶がきっと多くの読者の方にもあると思います。そのわくわく感のスケールが大きくなってさらに食べたら買わなきゃいけないというプレッシャーもないのですから、訪問者にとってはとんでもなく楽しいイベントですよね。

 

マドリードヒュージョン。普段プロの料理の世界には無縁のスペインの扉にとっては、そんなわくわくする世界を垣間見れたとても刺激的な数時間となりました。

 

マドリードヒュージョン、ショークッキング

一ブースで繰り広げられていたショークッキングとデモストレーション。クリーミーなヨーグルトを薄い膜で包みこむテクニックを見せてくれました。

 

新しい味、食材、食べ方を発見する絶好の機会

ひとえに料理界といってもテーブルウェア、プロの厨房で活躍する調理器具から大型マシーン、スパイス、調味料、スープの元、もちろん新鮮食材紹介、新しい食べ方の提案までととにかくジャンルが豊富で、ガストロノミー関連にまつわるビジネスって奥が深いんだなと実感させられました。

 

cardo_rojo

スペイン料理では伝統的に使われてきたアザミ。 スペイン語ではCARDO(カルド)と呼びます。    写真左が赤色のカルド。

 

スペイン地方色豊かなブースもたくさん!ブース間をうろうろしながら大発見したのは、アンダルシア州コルドバ県ですばらしいハモン・イベリコ・ベジョータを生産しているということ。話を聞くとハモン・イベリコ・ベジョータで有名なエストレマドゥーラやサラマンカに比較して生産量が少ないため流通量が少ない、よって知名度が低いとのことでしたが、その艶やかで滑らかな味はこれまで食べてきた高級ハモンの中でも絶品でした。

 

sobreasada

マヨルカ島の特産品 ソブレアサダ。 パンなどにつけて食べるとっても濃厚なお肉のパテ、と言った感じでしょうか。

 

こちらはカスティーリャ・イ・レオン州のソリアで主に収穫される有機栽培の野菜をオリーブオイルと天然塩で加工した野菜チップス。試食ではクラシックなポテトチップスでもハモン味、ビートチップス、にんじん、赤カブのチップスなどいろいろ試させていただきましたがどれも女性がすきそうな自然な風味をそっくりそのまま生かした優しいお味。毎日のおやつに常備したいですねぇ。

 

ビートチップス

ソリア産のめずらしいビートチップス。食感はぱりっぱりでビートのほのかな甘みがかみ締めるたびに口の中に広がります。

 

高級パン

5星ホテル、高級レストランを中心に販売されている高級パン。柔らかくかつコシのある生地とパーフェクトな塩加減。

 

cecina

スペインの珍味、セシーナ(CECINA)。カスティーリャ・イ・レオン州で主に作られる長い伝統のある牛肉の生ハム。ローマ時代から作られているといいます。豚の生ハムより濃くがあるのに油っぽさがないので口当たりはあっさり。プロの切り口はこの通り透き通るような薄さ。

 

日本ガストロノミーの堂々とした存在感

日本ブース

日本の政府代表として参加しているという意識の高さが、お話を伺った皆さんのお一人お一人から感じられた日本ブース。

 

私がお邪魔したときはちょうど服部先生を筆頭にパエーリャのデモストレーションをされていました。

でもこのパエーリャ、なんとお米で作る代わりにノンカロリーの粒こんにゃくで作ってあるんです。

食感も味もとても衝撃的でした。

 

パエーリャにはかなりの量のオリーブオイルが使われるものですがこれならカロリーも気にしなくてすみますね。スペイン伝統料理のパエーリャと日本の文化、ダイエットフードのこんにゃくを見事にマリアージュ。発想のユニークさに脱帽です。

こんにゃくパエーリャ

こんにゃくの粒で作られたパエーリャ。同じは絶品本物パエーリャなのに、材料はお米じゃないなんて驚きますよね。

 

加えてスペインにもここ数年から“WAGYU”ブームに火が着いている追い風を受けて、日本ブースには当然WAGYUを目当てに人がたくさん集まってきていました。

日本国内でも高級食材ですが、スペイン国内ではまだ限られたお店でしか取り扱いがありません。

ちなみに大手スーパーの販売価格は200gのフィレ肉がなんと25.95ユーロ。ちなみに真空パック。 これは1キロ当たり約130ユーロ弱というお値段ですから、超高級ですね。

 

来年もまた行きたいマドリードヒュージョン

毎年1月の中旬~2月の初旬の間に3日間開催されるマドリードヒュージョンレポート。いかがでしたでしょうか?

難しいことはプロに任せて、私たちは試食専門でブースめぐり。 入場料は60~100ユーロ(一日券)と確かに高級ですが、有名なアーティストの2時間のコンサートが1万円するとして、少なくともこちらは2時間以上のお楽しみでかつおいしいもの三昧。高いか安いかの判断は簡単ではありませんね。でも少なくとも簡単に言えることは、スペインの扉は来年もチャンスがあれば是非足を運びたい!!の一言で大満足です。

読者の皆様は冬にスペインへ訪れる理由リストのひとつに加えてみてはいかがでしょうか?想像以上の大発見と大満足をマドリードヒュージョンでは体験できると思いますよ。

 

最後まで読んでいただき有難うございました。

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