セビーリャの春祭り 来年はいつ?

by 土屋 寛子

こんにちは!

ここスペインは朝から春の光に包まれる日々が続くようになり、とても気持ちのよい季節が訪れました。スペインでの春の訪れはアンダルシアはセビーリャの”春祭り(FERIA DE ABRIL)”抜きでは語れません。実際に春祭りに足を運ばなくても、この時期テレビのニュースでは華やかなひらひらスカートに身を包み、大振りの花飾りやペイネタを頭にさし美しく着飾った女性達、普段のカジュアルさからは想像もつかないほどエレガントなガランや、鈴や飾りをつけ一層かっこよくなったアンダルシアの美しい馬の映像が連日流されるので、春祭りの様子がテレビで流れると本格的な春が訪れたことを感じられるのです。つまり春祭り開幕はスペインの春の枕詞でもあるのです。

セビーリャの春祭りはいつから始まった?

 

春祭りはスペイン語ではFeria de Abril(フェリア・デ・アブリル=4月のフェリア/祭り)と呼ばれています。

 

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1846年、バスク地方とカタルーニャ地方出身のある二人の権力者がセビーリャ市議会に毎年4月19,20,21日に祭りを開催することを提案し、地元の多くの農業、酪農に従事していた人々の支持を得て、提案は議会で可決されました。こうして翌年の1847年に初めて4月の祭りが開催されることになったのですが、祭り興しの立役者はアンダルシアの人ではなかったという点が興味深いですね。

 

feria5

 

この4月のお祭り開催を許可する条件として、市は”期間中、牛や馬の展示販売とコンクールを開催する”という新たな提案をします。このコンクールに参加する酪農家たちは一張羅に身を包み、自慢の牛や馬をもきっとぴっかぴかに仕立て、意気揚々と家畜と家族を引き連れて市の定めるフェリア会場へ向かったことでしょう。そうした人々や家畜が困らないように、開催期間中家畜には無料で飼料が提供され、人々にはコーヒー、お菓子、揚げパンなどが提供され、展示会場のテントなどのほかに、タベルナや、ちょっとした移動遊園地などが設置されて大盛況に終わったと記録されています。

 

カセタ(caseta)と呼ばれる仮設タベルナ、レストラン内部で楽しむ人々。ひとつのセセタの大きさは4メートルx奥行き6メートルが一般的で、交友スーペースと台所部分の2つのスペースに分かれているます。

カセタ(caseta)と呼ばれる仮設タベルナ、レストラン内部で楽しむ人々。ひとつのカセタの大きさは4メートルx奥行き6メートルが一般的で、交友スーペースと台所部分の2つのスペースに分かれているます。

 

開催初年は現在のセビーリ市内の中心にある旧タバコ工場周辺で開催された春祭りも、年々足を運ぶ人の数が増え、それに伴い仮説のタベルナや飲食物を提供するテントの数も増えていったので、やがて町の中心からすこし離れた会場へ、そして1973年に現在のロス・レメディオ地区へ移動することになりました。

 

 

セビーリャの春祭りの真髄

 

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始まりは家畜の展示販売・コンクールといういかにも酪農国ならではのお祭りも、初年から現代に至るまで、当然第一時世界大戦、スペイン内戦、フランコ独裁政権時代、スペイン立憲王国復活など、さまざまな歴史的事情に影響を受けることとなりました。スペイン内戦中はお祭り的要素の活動は一切禁じられ、家畜の展示販売だけが許されました。その家畜の展示販売の要素もフランコの死後、時代とともに薄れていき、春祭りは徐々に人々の交流の場に変容していったのです。

セビーリャの春祭りはキリスト教の国-スペインのお祭の中でも珍しく一切宗教色がないのもひとつの特徴です。宗教に関係なく純粋に“生きていることの喜び、それを分かち合って祝う”お祭りなのです。この期間中セビーリャ市の活動と市民の生活の一部がフェリア会場で繰り広げられるので、ある意味セビーリャの町としての機能が一時的に中断されるとも言われています。

 

もしかすると普段は観光客を乗せて入っている馬車が、春祭りの間はこんなにきれいに飾られて、まるで別の時代から走り抜けてきたような雰囲気。

もしかすると普段は観光客を乗せて走っている馬車が、春祭りの間はこんなにきれいに飾られて、まるで別の時代から走り抜けてきたような雰囲気。

 

 

セビーリャの春祭りの楽しみ方

 

「春祭りはフラメンコやセビジャーナスが踊れないと楽しめない」とか「春祭りはセビーリャ出身じゃないと楽しめない」というコメントをよく聞きます。

地元の人は開催期間中許される限りの時間をフェリア会場で過ごすのですが、その時間は踊って、食べて、飲んで、おしゃべりを楽しんでということを繰り返してすごします。大げさに言い換えると、確かに春祭りはセビーリャの人が普段の生活の中での楽しいと思うこと、つまり食べることと踊ること、親しい人々と一緒に過ごすことを最大限に楽しむ時間とも言えるので、そんな中に外からやってきた人がいきなり入っていって同じように楽しめるか?と問うとおそらく“ノー”かもしれません。

でも、そもそもスペイン人ではないのですから“同じように楽しむこと”自体がちょっと無理な目的ですよね。

それなら、おしゃれが大好きなスペイン人女性がここぞとばかりどのように美しく着飾っているのか、髪飾りは、ピアスは、スカートの柄は、靴は、鞄は?詳細をじっくり鑑賞する側に徹するのもひとつの楽しみ方だと思いませんか。間違いなく春祭りが近づいてくると、セビーリャの女性たちのおしゃべりの話題は今年はどんな風に着飾るかの一色に違いありません。

 

フラメンコ衣装に身を包んだ待ち合わせ中の若いスペイン人女性たち。

フラメンコ衣装に身を包んだ待ち合わせ中の若いスペイン人女性たち。

 

普段はおしゃれに疎いスペイン人男性が春祭りの期間中は見違えるほどかっこよく輝いています。

 

こんなに美しいスペイン人男性を見られるの春祭りならでは。雑誌から抜け出てきたようなオーラを放っていますよね。

こんなに美しいスペイン人男性を見られるの春祭りならでは。雑誌から抜け出てきたようなオーラを放っていますよね。

 

こんな風に馬に横のりして様になるなんて・・・

 

着飾った若いカップル。馬にまたがって映画の主人公ばりに町を闊歩している姿の美しいこと・・・

着飾った若いカップル。馬にまたがって映画の主人公ばりに町を闊歩している姿の美しいこと・・・

 

大人同様に着飾った子供たちのかわいらしさ。

 

馬車に乗せてもらった子供たちも普段と違った表情を見せてくれます。シャッターチャンスを見逃さないようにカメラを構えているのも大変。

馬車に乗せてもらった子供たちも普段と違った表情を見せてくれます。シャッターチャンスを見逃さないようにカメラを構えているのも大変。

 

カメラファンにはたまらない被写体が春祭りには溢れ返っているので、夢中でシャッターをきり続けたくなるでしょう。

フラメンコやセビジャーナスを踊れなくても、スペイン語を話せなくてもよいのです。見ているだけでこんなにうっとりする美しい春祭りは世界で唯一のお祭りなのですから。人々が喜び幸せなエネルギーを放っている空間を歩いて、幸せのエネルギーのシャワーを浴びて自分自身もこんな風に輝きたいと思う気持ちが、中からきっとら溢れてきます。

なんといってもセビーリャの春祭りは衣装も踊りも人々の笑顔も会場の雰囲気も、そのすべてがスペインの文化と歴史と人生観の縮図のようなお祭りなのです。そのひと時を素直に愉しんでください。

 

セビーリャの春祭りの開催時期はいつ?

 

春祭りは毎年同じ期間に開催されるわけではありません。

春祭りは現在の市の条例で開催期間が決められていますが、それによると「毎年聖週間(semana santa)の終了から2週間後に開催」と定められています。この聖週間が毎年ずれていくので春祭りの開催期間も変動するというわけです。

例えば2014年は5月6日~11日でした。聖週間が4月の頭に当たっため、セビーリャの2大文化イベントである聖週間と春祭りが4月だけに集中してしまうことを危惧して、市が意図的に例外とし春祭りの開催を5月まで引き伸ばしたのでした。

詳しい詳細はアンダルシア自治州観光局公式サイトでご確認ください。

さぁ、それがわかったら、来年に向けてスペインへの旅行の計画を今から立て始めてみましょうか。

 

 

写真提供 Daniel Bousada Ligenfert

 

最後まで読んでいただき有難うございました。

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