マドリードで絶対食べて欲しい厳選カジュアルグルメ5品

by 土屋 寛子

スペイン料理 マドリード イカリングフライのボカディージョ

マドリードではスペイン全国の郷土料理、伝統料理はもちろん、ミッシュランの星を獲得した本格的な日本食、メキシカン、ギリシャ料理、イタリア本場顔負けな石釜焼きピザ、直輸入高級アルゼンチン牛肉専門店など、世界中のグルメが楽しめるレストランがたくさんあります。でもこれだけ豊富な選択肢があるにも関わらず、観光客の皆さんの中にはレストランでの食事は1回くらい、後はバルで簡単に済ましたり、ビールのつまみで胡麻化しちゃったりなんていう人も結構いらっしゃるのです。

でもそれもマドリードならOK!なぜならスペインはそのバル食、つまみがおいしい!国ですからそれも立派なグルメ体験です。今回はマドリードで是非食べていただきたい、そしてマドリードならではの気取らない、でもしっかり厳選したグルメ5品-5店をご紹介します。

マドリード名物 イカリングフライのボカディージョ

今ではボカディージョというと、スペイン旅行を計画されている人たちの間では「スペイン風のあのサンドイッチね!」とすぐにぴんと来る方が増えました。それだけスペインの食文化やスペイン文化そのものが日本のファンの方達の間でかつてと比べて身近になった証拠でもありますね。

そのスペインの「おにぎり」的存在で、スペインの食文化から絶対になくてはならない存在のボカディージョ。いろいろな中身のものがありますが、マドリードの名物はイカリングフライのボカディージョ。(記事トップの写真がこのお店のボカディージョです。)

マヨール広場にはたくさんのレストラン、バル、タベルナが軒を並べています。そしてほぼ100%の確率でどこのお店でもこのボカディージョはおいています。なぜって?それはもちろんマドリードっ子も、スペイン人観光客も、外国人ツーリストもマヨール広場に足を運んだら、ちょっとした腹ごしらえ、軽いランチ、夕方以降飲みに繰り出す前に必ず食べるマヨール広場の名物で人気の一品だから。ですからB級グルメだからといって馬鹿にしたらだめですよ。これはまさしくマドリード、特にマヨール広場で食すべし!個人旅行では絶対にはずせない食体験なのです。

じゃぁ、何処で食べても同じか?というともちろんそうではないのが悩むところ。それぞれの好みに応じてお気に入りのお店があると思うのですが、マドリード在住歴の長い筆者が数年の間食べ比べをしてきて、「これは今まで食べてきた中で一番おいしい!」と、思わず1個食べてから家族全員続けて2個注文して食べてしまったお店をご紹介します。

店名『Gustos Madrid  Plaza Mayor 』

住所:PLAZA MAYOR 8番
営業時間:11時~24時
公式ウェブサイトこちらから

何がおいしいのか。比較しないと分かりにくいのですが、色々なお店でイカリングフライのボカディージョを食べて来た筆者がこのお店を評価しお奨めするポイントとしては:

-パンが他のお店よりずっとおいしい。これ重要なポイントです。やわらかめのバゲット、中身はふわふわ。パンにもしっかりと味があること。
-温かいホカホカのパンに揚げたてでほんのり塩味を効かせたイカリングはサクサク。
-好みでレモンをぎゅっとするもよし。マヨネーズで風味を増して食すもよし。

とにかく絶品でした。小さなこだわりがきちんと反映されていて、やっぱり、同じイカリングフライのボカディージョを売っているお店や老舗バルが集まるマヨール広場で勝負するなら、これくらいにこだわってくれなくちゃね~と、消費者目線から評価して10点!の満足度でした。実はこのお店、B級グルメがメインではなく、本当はお米料理専門店。オーダーが入ってから人数分のパエーリャ鍋で炊き上げてくれるお米料理を楽しむお客さんでランチ、ディナー時間は賑わっています。明るい店内の雰囲気も、アテンドしてくれるスタッフも親切で入ってよかったという気持ちでお店を後にした私達。だから自信をもってお奨めしますよ。探してみてくださいね!

 

超有名店のサックサックなバカラオのフリッター

 

マドリードには訪れる人にとって大文字で強調できる良い点があります。それは老舗のバル、タベルナ、レストランが今でもかなり市内に残っていること。それも老舗も老舗、19世紀から続いているレベルのお店やスペインで一番古い料理店としてギネスブックに登録されているお店もあるんです。さてそんなマドリードの中心地でこだわりの1品バカラオ(タラ)のフリッターが大人気のお店がこちら、カサ・ラブラ。

店名『Casa Labra』 1860年開業当時からの変わらぬ老舗の味

住所  :Tetuan通り12番(ソル広場から2分・ソル広場にあるコルテ・イングレスの入り口、わき道を少し下がってすぐ。)
営業時間:タベルナ(立ち食いスペース)毎日9時30分~15時30分/17時30分~23時/日曜日も営業
:店内レストランスペース   13時15分~15時30分/20時15分~22時/日曜日は休業
※両スペースとも1月1日は休業。
公式サイト: こちらから

1900年のマドリード。住民84万人に対して1500のタベルナと呼ばれる軽食屋が存在していました。このお店があるTetuan通りにもかつては3軒のタベルナがあったそうですが、歴史と時代の移り変わりにも見事に打ち勝ち生き残ってきたのはこのお店-Casa Labraだけ。激しい時代の変化の波に打たれながらも店の暖簾を降ろさずにこれたのは、1860年開業以来看板料理のタラのフリッターとタラのコロッケのの変わらぬ味が、人々に愛され続けているから。

一度食べたら絶対に忘れない優しい味わい。そしてもしも二度、三度マドリードを訪れることがあるとしたらきっともう一度食べたくなるシンプルさがこのフリッターの人気の秘密です。マドリードのおへそ部分-ソル広場至近にあるという好条件な立地もあって、ランチ前、夕食前の誰もがちょっと小腹がすいたなと感じる時間帯は常に大勢の人で賑わっている大人気店です。

立ち食いスタイルでほとんどの人がビールやベルモット、ワイン片手に食しています。お店に近づくと、キャッシャー前に行列ができているので、その列にならんで、食べたいフリッター、コロッケの数を注文してお金を支払います。その場で小さなお皿に注文した品が盛られて手渡されるという流れ。

ドリンクは店内正面にあるバーカウンターで別注文。だから基本はドリンクを注文する係りとタラを注文する係りと、食べるスペースを確保する係りと、最低3名のチーム編成でお出かけするのがスムーズです。無理ならもちろん、お一人でもお二人でも乗り込んでください。大勢の人がいると勢いに押されて躊躇してしまう人も多いかもしれませんが、ここだけの体験。是非思い切っての乗り込むのですよ。ほっくりさっくり優しいタラが口の中に広がった時、あぁ~旅の醍醐味、ときっとにんまりしているでしょう。

 

 

タパスの王様 パタタス・ブラバス

 

スペイン人とバルで集まりビールで乾杯!という定番シーンにてスペイン人が好んで注文するのがこのパパタス・ブラバス(Patatas Bravas)。簡単に言うとフライドポテトなのですが、人気の理由は安くて旨い!これ以外にどんな理由が必要?というほどシンプルで分かりやすいタパスです。スペイン全国のバルで見かけるこのパタタス・ブラバスですが、実はマドリードが発祥の地なんですよ。ジャガイモのフライはきっとそれまでどこででも食されていたものなのでしょうが、それに人気の秘密、ピリ辛トマトソース=ブラバソースをかけて最初に提供し始めたのがこちらのお店。

店名『Las Bravas』 1933年開業タベルナで味わうご本家パタタス・ブラバス

住所(本店):Álvarez Gato通り 3番(ソル広場から8分)
営業時間  :月~木曜日 12時30分~16時30分/19時~23時30分
金~土曜日 12時30分~17時/19時~23時30分
日曜日 12時30分~17時/19時~0時30分
公式サイト: こちらから

1933年にアルコールとつまみを出すタベルナとして開業。50年代にこれまでソース無しで提供していたポテトフライに、辛いトマトソースを半ば冗談交じりで常連客に提供し始めたところ、それが受け、次第に人気の一品になっていったとそうです。ちょっと皮肉のきいた遊び心の中から誕生した一品。この店のパタタス・ブラバスはどんどん人気、有名になり1960年にはブラバスソース「Las Bravas」を商品登録するに到っています。(ケチャップソースの生誕みたいなものでしょうか。)いわゆるフレンチフライと違い、ジャガイモはほくほくさを追求するために四角にカットして揚げるのがパタタス・ブラバスのポイントです。そしてソースもこの本家のソースで召し上がれば、間違いなく本物のパタタス・ブラバス体験となるでしょう。ちなみにお店ではお土産用にソースも別販売しているので、気に入った方はスペイン土産にいかがですか?

 

 

指までしゃぶるほどおいしい卵料理 ウエボス・エストレジャードス

 

スペインは今でこそ美食の国だなんていう評判もつきましたが、長い歴史の間では一般市民の食生活はそれほど豊かではなく、どちらかと言えば貧しかったといえるでしょう。そんな貧しい中でも工夫していくらでもおいしい一品が作れる食材の王様と言えば卵。今でこそレストランのメニューから卵料理の欄は消え始めていますが、バル、タベルナのメニューでは卵料理は依然大人気。中でもスペイン人が大好きなのがHuevos Rotos(ウエボス・ロトス)またはHuevos Estrellados(ウエボス・エストレジャードス)と呼ばれる一品。個人経営店でもチェーン店でも必ずある人気のタパスです。これはフライドポテトに目玉焼と刻んだ生ハムやチョリソ、チストラソーセージなどを乗せたとてもシンプルなお料理ですが、ジャガイモx卵x生ハムのコンビが作り出すハーモニーはなんともいえないおいしさ。庶民的すぎるって?スペイン料理のほとんどは庶民的なんですよ、本当に。では、それだけ庶民的なら何処で食べでも一緒でしょ?と思われないために、庶民的、伝統的料理をこだわりシェフが、こだわりの食材だけを使って提供する、スペインの扉のこだわりのタベルナをご紹介。その名も『ロス・ウエボス・デ・ルシオ(ルシオの卵)』

このタベルナは店の反対側にある老舗の伝統スペイン料理店『Casa Lucio』直営なので、シンプル、カジュアルな料理でも素材と安定した味に定評があるだけでなく、取り揃えているワインの種類もとても豊富なので、ワイン好きにはたまらないお店。ただし、とても小さなお店なので、開店すぐ頃を目指してお出かけしてみてください。

店名『Los Huevos de Lucio』 老舗の味をカジュアルに

住所(本店):Cava Baja 通り30番(ソル広場から10分)
営業時間  :毎日 12時~16時/20時~24時
公式サイト: こちらから

 

 

 
 
 
 
 
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コラーゲンたっぷり!カリカリ&ジューシーな豚の耳

 イスラム教徒と長年国土争いをしてきた歴史が食文化に反映されているのかどうかはわかりませんが、スペイン人は豚肉が大好き。そしてお豚様から頂くものはすべて食べつくします。そう文字通り耳から足の先まで。豚の耳もスペイン人が好んで食すタパスの代表選手で、いろいろなバルで食べることができますが、マドリードっ子の間で今も昔も変わらず人気のお店がこちら、『カサ・トニ』 観光客、マドリードの若者たちが夜になると繰り出すプレルタ・デル・ソル地区はレストラン、バルにとっては激戦区。その激戦区にありながらも、開店当時から変わらない正真正銘のマドリードのバルとして、今でもスペイン人客がビールとタパスを楽しみに足を運ぶこのお店の豚の耳は、カリッカリに揚げた耳にオリジナルのソースが添えられて、恐る恐る食べているうちにもっと食べてみたくなるおいしさです。 この味を求めて特に週末の夜は小さなお店は一杯に。ゲテモノはちょっと・・・と思われても、これも異文化体験の1つ。レポーターになったつもりで試しに出かけてみてください。 また典型的なマドリードのバルという存在をマドリッドっ子に認めさせている実力は、豚の耳のとどまらず、市内では少し珍しい、これまたマドリードのタパス、仔羊の腸のフライも扱っています。これも話のネタに試していただきたい一品です。お料理というにはあまりにもシンプルですが、オリーブ油で揚げているためでしょうか、塩味とクランチーな触感が癖になります。  

店名:『Casa Toni (カサ・トニ)』

住所            :calle de la Cruz  通り14番(ソル広場から7分) 営業時間  :毎日 12時~16時30分 / 19時~24時  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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この記事でご紹介したお店はスペインの扉マークを付けてあります。探して行ってみてくださいね~!

今日も最後まで読んでいただき有難うございました。

この投稿は楽しかったですか? 気に入っていただけましたか?スペインの扉はスペインファンの輪を広げるため、日本の皆さんにとってもっとスペインが近くに感じられるような空間を目指しています。皆様の感想、コメントをお待ちしております。

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