マドリード プエルタ・デル・ソル広場エリアガイド

by 土屋 寛子

マドリード プエルタ・デル・ソル

プエルタ・デル・ソル広場の起源は15世紀まで遡ります。当時のマドリードはビジャと呼ばれ、城壁に囲まれた小さな地方都市の1つでした。プエルタ・デル・ソル広場には城壁内部へと通じる門が設けられており、そこに太陽が刻まれていたことからこう呼ばれるようになったそうですよ。当時は街の外れに位置していたのです。現在の広場は地下鉄、RENFEの駅もあるため昼夜問わず賑わっていてマドリードの市内の中心地と言えるでしょう。ちなみに、地下鉄の駅名も「SOL-ソル」なので、このプエルタ・デル・ソル周辺のことを地元の人たちは単純にソルとも呼びます。

 

マドリード ソル広場までのアクセス

 

マドリード バラハス空港-マドリード市内の移動の仕方」という記事内で詳しく説明しております。そちらをご参照の上、アトーチャ駅までいらしてください。

アトーチャ駅にて下車後、地下鉄1番線(Pinar de Chamartin行き)にて「ソル駅」へ。
アトーチャ・レンフェ駅からソル広場までは4駅です。(所要時間およそ10分)

ちなみにアトーチャにある地下鉄の駅名はアトーチャ・レンフェ(Atocha Renfe)。Renfeの駅名はシンプルにアトーチャ駅です。微妙に異なりますがRENFEのコンコースから出口を出ると右手すぐに地下鉄の改札口があるので、迷うことはありません。

 

 

 💰 利用方法と料金 

 

空港で初めてRENFEを利用する場合

『Renfe&Tu』という課金制のカードを最初に購入する必要があります。カードには2種類あり、所持者限定利用タイプ(Tarjeta Personalizada /パーソナル-2ユーロ)と不特定多数で利用できるタイプ(Tarjeta No Personalizada /0.50ユーロ)があります。長期滞在でない限り、一般の観光客は後者の不特定多数で利用するタイプーTarjeta No Personalizadaを購入してください。これは窓口か自動券売機で購入が可能です。カードの初期購入費用0.50ユーロに乗車区間の料金をさらに課金して利用します。1枚のカードに数枚の乗車券をチャージして、複数の人数で利用することが可能です。
T4からアトーチャまでの料金は2.6ユーロ(片道/2020年5月現在)

地下鉄の利用方法
RENFE同様、初めて利用する場合は『Tarjeta Multi』というカードを購入する必要があります。これも所持者利用タイプの課金制、複数で利用することが可能なカードです。カードの利用有効期間は2年間です。カード購入初期費用が2.50ユーロ(2020年5月現在)

マドリードの地下鉄料金は区間制となっています。自動券売機の画面から行先の駅を見つけ選択すると、乗車料金が表示されます。

 

 

 🔦 お役立ち情報!

 

RENFE公式マドリード近郊線案内ページ こちらから
RENFE 近郊路線図 : こちらから
マドリード市地下鉄公式サイト   :こちらから
マドリード市地下鉄路線図     :こちらからダウンロードが可能です。
マドリード市地下鉄時刻表の確認こちらから利用する路線ごとに確認が可能です。

 

なお、アトーチャ駅からバラハス空港へ行く場合のRENFEの利用の仕方は「マドリード バラハス空港-マドリード市内の移動の仕方」という記事内で詳しく説明しております。そちらをご参照にしてみてください。

 

マドリード ソル広場へ行く方法  バラハス空港~地下鉄利用

 

空港からずっと地下鉄だけでソル広場まで行くことも可能です。T4とT2に乗車駅があります。ソルまでの乗り換え回数は2回だけですが、停車駅がとても多く前述のRENFE+地下鉄パターンより行程が長く感じます。

地下鉄に慣れている筆者だと、実際は「スーツケースを持って全行程地下鉄=面倒くさいな・・・」という気持ちになってしまいます。かつ乗車率の高い路線ばかりの利用なので座れない確率も高いのです。ですが切符を買いなおしたりする手間がないの分、分かりやすいというメリットはあるかも知れません。

次に実際利用する路線を見ておきましょう。

空港からはピンク色の8番線「Nuevos Ministerios」行きに乗車。終点「Nuevos Ministerios」駅下車、乗り換え
グレーの6番線「Arguelles」行きに乗車。1つ目の駅「Cuatro Caminos」にて下車、乗り換え。
赤色の2番線「Las Rosas」行きに下車。7つ目の駅「Sol」にて下車です。

「Sol」の駅にはたくさんの出口があります。それぞれの出口は地上でそれほど離れた場所に出るわけではないので、間違えてもあまりあわてなくても大丈夫です。また「Sol」駅には改札を出た後地上へ出るためのエレベーターがあります。エレベーターを利用すると広場の真ん中、カルロス3世の騎馬像近くにでます。マヨール広場方面へ向かうには少しだけ離れますが、スーツケースを持って階段を登るよりはエレベーターを利用したほうが良いと思います。

 

マドリード ソル広場のモニュメント

 

広場にはマドリードを象徴するモニュメントが集まっています。16世紀以降スペイン王国の首都であるマドリードならではのものばかりなので、見逃さないでくださいね。

 

カルロス3世の騎馬像

広場の中心にカルロス3世の騎馬像がたっています。カルロス3世は18世紀のスペイン国王(在位1759~1788年)で、スペインの啓蒙専制君主と言われています。

学業と芸術を奨励し、多くの国家資金による教育機関、学校を設立、全国に総長2000㎞以上の国道を整備、600以上もの橋を建設するなど、国の整備と国力の回復事業に精力的に取り組みました。また同時、近代化が遅れひどく汚く荒れていたマドリードをヨーロッパ一美しい街にしようと、大規模な都市計画にも着手しました。下水処理設備の整備、街灯の設置、遊歩道、公園の整備、人々の憩いのためのカフェリアや劇場の建設、市民の娯楽行事を新しく取り入れるなど、市民に住みよい街にしたがはこの王様。つまり今皆様がご覧いただいているマドリード市の姿に近いレベルに街を作りこんでくださった王様です。

カルロス3世はプラド通り、シベレス噴水、アルカラ門、またカルロス3世の没後プラド美術館として市民に開放されることとなるビジャヌエヴァ館を建設するなど、マドリードの都市再開発事業に広く着手し「マドリード市の最高の市長」という愛称で市民に大変愛されました。このカルロス3世は、スペイン王国の歴史を振り返っても、後にも先にもスペイン王として王座に就いた時点ですでに政治家、一国の王(スペイン領イタリア-ナポリ王国の国王)として20年以上のキャリアを付けていた唯一の王様とも言える、大変貴重な王様でもあるのです。

 

熊とマドローニョ(ヤマモモ)の像

マドリードのシンボル、熊とマドローニョ像の周囲には待ち合わせをする人、写真をとる人で常に人が集まっています。でもどうしてマドリードのシンボルが熊なの?と不思議に思いませんか?かつてはマドリード市周囲は広大な森に囲まれており、ヤマモモの木がふんだんにあり、熊も生存していたというのです。また14世紀のカスティージャ王アルフォンソ11世紀がマドリード遠征中、マドリードの山で熊を狩ったという記録が在るそうで、こういった歴史的背景があってこの熊とマドローニョの絵がマドリード市の紋章にも描かれています。

マドリード ソル

マドリード ソルのシンボル『熊とマドローニョ像』

 

ラ・マリブランカ像

アレナル通りの始まりに立っている美しいビーナス像で、1625年にフィレンツェからの贈られたと記録されています。円柱の石の題材には以下の言葉が刻まれています。

ESTATUA DE VENUS LLAMADA LA MARIBLANCA, RÉPLICA Y RECUERDO DE LA QUE PRESIDIÓ ESTA PUERTA DEL SOL ANTES DE SU TRANSFORMACIÓN A MEDIADOS DEL SIGLO XIX. MCMLXXXVI

こちらに立っているのはレプリカで(オリジナルはヴィジャ宮殿-マドリード旧市役所-に保存されている)マリブランカと呼ばれるビーナス像は16世紀半ば頃、マドリード変革期を辿ったソル広場を記念するものであった、とあります。長い間お蔵入りしていたこのビーナス像は、レティーロ公園、レコレトス通り、マドリード歴史博物館などを経て、ようやくアレナル通りが定位置となり、今でもマリブランカと呼ばれて市民に親しまれています。

 

 

時計台

ソル広場のもう一つのシンボルが時計台です。時計台のあるバロック様式の建物は1768年に完成したもので、前述のカルロス3世の命で建設されました。ソル広場に現存する建物の中で最古のものにあたります。もともとは”Real Casa de Correos”、つまり今で言う中央郵便局のような役割を果たす行政機関でした。現在はマドリード自治州が直接管理しています。

スペインには大晦日~新年の夜に新年を迎えた最初の1分の間に鳴る12の金の音と共に12粒のブドウを食べる習慣がありますが、マドリード市ではこの時計台の金の音を合図に祝うため、12月31日の夜は新年をソル広場で迎えようとする人で大混雑しますのでご注意!

 

 

0㎞地点

時計台のすぐ近くにある0㎞地点。地面にありますよ。この地点からカタルーニャ、ガリシア、バレンシア、バスク、アンダルシア、エストレマドゥーラへの国道の距離計算が始まります。表示にはイベリア半島のシルエットが描かれ、スペイン部分は色濃く識別されていますが、その中心から6本の国道を意味する線が放射状に出ているのを確認してみてくださいね。

イベリア半島のシルエットの下方部に二つの紋章が刻まれています。こちらにもよ~く注目。左側の紋章は道路・水路・港整備事業学校のもの。右側は昔のマドリードの紋章です。この記念碑が地面に埋められたのは1950年のことです。

ではなぜここが0Km地点に定められたのでしょう?

 

ちなみにこの0Km地点はマドリード市の中心点には重なりません。マドリード市の中心はコロン広場とゴヤ通りの交差する当たりになります。

 

 

マドリード ソル広場 周辺の見どころ

 

マドリード市中心にはオーストリア朝マドリードとボルボン朝マドリードという区分の認識があり、ソル周辺にはオーストリア朝マドリードに属す古い建物がたくさん集まっているんです。

オーストリア朝マドリードとは、ハプスブルグ家系列からスペインの王が出た時代、つまりカルロス1世(または神聖ローマ帝国の皇帝カール5世。スペイン国王カール1世としての在位は1516~1556年)からハプスブルグ家最後のスペイン王カルロス2世(在位1665~1700年)の統治時代に作られていったマドリード市の歴史地区のことで、大まかに言うとソル広場~王宮~サント・ドミンゴ広場~セバダ広場に挟まる部分を指します。16~18世紀の建造物が多く残っていることからマドリードの旧市街と呼ばれていますが正確な線引きはありません。中世の古い建物の集まると通りを、装飾の美しさを楽しみながら歩くのがとても楽しく、なんといってもこのマドリードの旧市街が「太陽の沈まない大帝国」の中枢であったと思うとワクワクしませんか?

ソル周辺はカメラを構えたくなる街角がとても多いエリアとも言えますので、食事の時間なども含めてたっぷり4~6時間ほど掛けて楽しみでみましょう。

 

王立サン・フェルナンド芸術アカデミー

プエルタ・デル・ソル広場からすぐにあるこの美術館に行ってみましょう。ここはカルロス3世のお兄さんに当たる前王フェルナンド6世が、在位中に作った王立3大芸術アカデミーとして起源を発します。このアカデミーで学んだ絵画、彫刻、建築分野の芸術家たちが残した作品を中心に、1400以上の絵画、1300点以上の彫刻、15000点以上のスケッチなどが鑑賞できます。18世紀に活躍した画家ゴヤはかつてこのアカデミーで絵を教えていたことでも知られいます。中でも『鰯の埋葬』という当時の市民が楽しむ様子を映し出した作品を含む13点のゴヤ作品はこの美術館の宝物。また有名になる前にピカソやダリもこの学校で学んでいるんですよ。

館内には“アルカラ通りの風景(“Vista de la calle de Alcalá” Antonio Joli作 1750年頃)という一枚の絵があり、ソル広場から見えた当時の界隈の様子を伺うことができます。市内で最も重要な美術館の一つでもあるので、元気な朝1一番、こちらの美術館を見学することから始めると旧市街の見学がもっと面白くなるかもしれません。

 

🔦 詳しい見学情報

所在地 : Calle de Alcalá, 13 MADRID (SOL地区)
開館時間: 火曜日~日曜日 10時~15時
休館日 : 月曜日 / 8月1~31日

 

 

アレナル通り

ソルから王宮に通じる短い通りですが現在は歩行者天国になっています。両脇に靴屋さん、ブティック、お菓子屋やカフェなどが立ち並び、ウィンドウショッピングを楽しむ人々を相手に芸をする大道芸人がいつもいたりして、いつも賑やか。オーストリアーマドリード時代は、当時あった王宮の役割を果たしていたアルカサール(現在は王宮が立っている場所にあった)から近いため、王宮に使える高級官僚達の家が並んでいました。もちろん当時は石畳ではなく、普通の泥の道でしたけれど。そういったことを想像してみると面白くないですか?

 
アレナル通りをぶらぶら数分歩いていくと、王立劇場(オペラ座)の建つイサベル2世広場に出ます。

 

 

 

王立劇場

イサベル2世広場に面して建っているのが王立劇場です。この広場にある地下鉄の駅名が「OPERA(オペラ)」となっているように、オペラ座とも呼ばれていますが、正式にはTeatro Real(テアトロ・レアル)、王立劇場です。この劇場はハプスブルグ王朝ではなく、時代変わってフランスのブルボン王朝スペインの統治時代、フランスから嫁いできたオペラ好きのイサベル2世女王の命令で建てられ1850年に完成されたました。イサベル2世の銅像が広場の中心に立っているのはそのためです。

王立劇場は内部の見学が可能です。もちろんオペラファンならシーズン中の演目を事前にチェックして、マドリード滞在中にオペラ鑑賞、クラッシックコンサート鑑賞などを計画されるのもいいですね。
 
 
🔦 詳しい見学情報
 
劇場見学時間: 月曜~日曜日 10時30分~16時30分
見学所要時間: 約1時間
 
 
Madrid_Opera

地下鉄の駅名は「オペラ」ですが正式名称は王立劇場。待ち合わせ場所としてもよく利用されます。

 

 

オリエント広場

丁度オペラ座の裏側に広がっているのがオリエント広場です。かつてはアレナル通り同様住宅が並んでいた広場が現在の姿に変貌したのは、19世紀半ば頃、王宮とソル広場を結ぶ大通りを作る計画が持ち上がり整備が進んでからのことです。

 広場を囲むように彫像が飾られていますが、広場の整備計画を受け継いだスペイン王フェルナンド6世(在位1746~1759年)が、王宮の屋に飾るために、過去のスペイン王族を象らせ作らせた彫像です。最終的には王宮の屋根に飾られたのは数体のみで、20体はオリエンテ広場に、残りはマドリード市内の街角に飾れています。

 広場の中心にある大きな騎馬像はフェリペ4世(在位1621~1665年)です。プラド美術館を見学された方、する方には是非覚えていておいて頂きたい名前。この王様は政治家としての才能はあまり高くなかったようですが、芸術を愛し、ベラスケスを宮殿に住まわせ、生涯ベラスケスの雇い主となった王様です。他にもスルバラン、ムリーリョ、ホセ・デ・リベーラなどスペインの画家だけでなく、ルーベンスをはじめ多くのヨーロッパの画家を保護・支援し、数々の傑作を世に残すことに貢献しています。プラド美術館にこの時代のイタリア、フランドル、スペインの有名画家のコレクションが多くあるのはこの王様のお陰であり、プラド美術館の礎を築いた方とも言えます。

 プラド美術館にはベラスケスに描かせたフェリペ4世像があるので探してみてくださいね。また、ベラスケスの絵と言えば、マルガリータ王女という幼くかわいらしい王女様を中心に描かれた『ラス・メニーナス(女官たち)』という大きな絵が有名ですが、この王女様のお父さんがフェリペ4世です。そしてこのフェリペ4世の跡を継いだ嫡男カルロス(後のカルロス2世)の時代にスペイン・ハプスブルグ王朝が断絶することになります。オリエンテ広場のフェリペ4世の騎馬像のことをベラスケスの絵画を見ながら少し思い出して見られると、この時代背景が少しだけ分かりやすくなるかもしれません。

 

 

王宮

現在王宮の建っている場所には、イスラム教徒統治時代の9世紀からアルカサールと呼ばれる要塞が建っていました。その後11世紀後半、1085年、カスティーリャ王アルフォンソ6世の時代にマドリードはキリスト教徒の王の支配下になると、キリスト教徒の王達はその後6世紀以上の間アルカサールを好みに改造・増築を重ね宮廷・住居として利用するようになります。

このアルカサールにはイサベルカトリック女王の孫に当たるカルロス1世(すなわち神聖ローマ皇帝カール5世)、そしてその継承者でありトレドからマドリードに首都を遷都(1561年)したフェリペ2世も暮らしました。ところが1734年のクリスマスイブに起こった大火災により、建物はほぼ全焼してしまいます。長年ハプスブルク朝スペイン王達の拠点であったアルカサールは、フランスブルボン朝スペインの初代の王フェリペ5世の代にて全焼するとは、なんともきな臭いですよね。

こうしたわけで、フェリペ5世は同じ場所に、ブルボン王朝に相応しい王宮を建設することを決意。当時ヨーロッパで最高の腕前だと言われていたイタリア人の建築家フィリッポ・フバラ(Filippo Juvarra) を起用して建築を開始しますが、残念ながら新しい王宮に暮らすことはおろか完成を見ることすら適いませんでした。

この王宮が外装・内装ともに完成し居住可能になったのは1760年以降のことで、最初の王宮の住人は前述したマドリードのよき市長、カルロス3世でした。このお方、よほど前世での行いが良かったのでしょうか。若き頃は両シチリア王国で軍事力と政治力を付け、キャリアを積んだ後争わずにスペイン王に。ほぼ努力せずとも前代王から出来上がった王宮をプレゼントされ内装だけ好みに完成してぴっかぴかの王宮暮らしを開始。2度の結婚では13人の子宝に恵まれ(残念ながらそのうち7人は生まれてすぐ夭折または父より早死にという不運ではありましたが)、72歳の人生をこの王宮で終えるという、君主として、そして人としても大往生したと言えるのではないでしょうか。

さてそんなマドリードの王宮ですが、現在でも国賓を招く晩餐会、国家間条約や同盟の署名など、重要な国家行事が行われる際には使用される「現役」の王宮です。ですが王様はこちらには暮らされていません。普段は国の重要文化財の一つとして一般公開されていますが、公式行事のある日は予告無しに急遽閉館となります。そんな時は王宮の屋根にスペインの国旗がたなびいているはずです。ちなみに現在の王様はマドリード市内北西部にあるサルスエラ宮殿にお住まいです。このパル宮殿に、王宮建築中にいえなき子となってしまったフェリペ5世はじめ次の2人の王様もサルスエラ宮殿にお住まいだったとか。とういうものの、国内には21の王宮がありますから、王様が暮らす家がないなんてことはありませんけれど。

総面積約3.5ヘクタールの敷地に3418室もの部屋がある壮大な王宮は、かのナポレオンもスペイン侵略戦争にてマドリードを攻略した際に、その統治を弟に任せるのですが、「ようやくお前も俺の家より優れた家を手に入れたな。」と言わしめたと言い伝えられています。

ヨーロッパに数ある有名な王宮の1つに数えられますが、ヴェルサイユ宮殿が700室、バッキンガム宮殿は775室ほどなので、たとえ部屋の大きさが均一でなく、単純に数だけではその大きさは比較できないとは言え、3桁と4桁ではやはり比較にならないほどの大きさであることはご想像いただけるのではないでしょうか?ちなみにこの3つの宮殿の中でもっとも敷地面積が大きいのはヴェルサイユ宮殿の800ヘクタール(その大部分が庭園)で次がバッキンガム宮殿が16ヘクタールとなります。(東京ディズニーランドは51ヘクタールだそうです。)

王宮内のすべての部屋が公開されているわけではありませんが、6万個以上の芸術品のコレクションの一部、歴代の王達の暮らしたまるで別世界な豪華絢爛な内部の見学は大変価値が高くお勧めです。

🔦 詳しい見学情報

 
見学時間: 冬季 ( 10月~3月)毎日 10時~18時
    : 夏季( 4月~9月)月~土曜日 10時~19時 / 日曜日 10時~16時
見学所要時間: 約1時間30分~(自由見学)
※チケットの購入はウェブサイトのオンライン購入が奨励されていますが、現地チケットオフィスでの購入も可能です。正しクレジットカードでの支払いのみ。またチケットオフィスは閉館の1時間前には締まりますのでご注意ください。

 

 

マヨール広場

マヨール広場は市民と観光客に愛される美しい広場。今から400年以上前、1617年フェリペ3世の時代に完成されましたが、その後何度も火災にあい、その度に改修され現在の姿になりました。広場の中心には大変大きな騎馬像が立っています。これは偉大な神聖ローマ帝国カール5世、スペイン王カルロス1世の孫に当たるフェリペ3世の像で、オリエンテ広場にある騎馬像-フェリペ4世とは父子の関係になります。残念ながらフェリペ3世は祖父、父が偉大過ぎて、政治家としての才覚はあまり評価されなかったばかりか、彼の統治時代には大帝国の力は徐々に衰退し始めていきました。なのにこんな大きな騎馬像。人間性が反映されているように感じてしまいます。歴史の流れの中ではマヨール広場では闘牛、宗教裁判、祭事などが開催されてきました。現在ではマドリードの守護聖人サン・イシドロを奉るサン・イシドロ祭り期間中には大きなステージが組まれ連日無料のコンサートやショーが開催されるほか、さまざまイベントの会場として使われています。12月1週目~1月5日まではクリスマスマーケットも開かれて、このシーズンは一層賑やかです。

マヨール広場には土産屋、レストラン、カフェが立ち並んでいるので、お店に立ち寄ったり、大道芸人のショーを楽しんだり、名物イカリングフライを食べたりしているとあっという間に1~2時間くらいは過ぎてしまうかもしれません。スペインの扉のお勧めは1894年に開業した老舗の帽子屋さん。スペインらしい伝統デザインのものや、パナマ帽、ベレー帽、ブランドものやはては闘牛士の被る帽子も売っているとっても貴重なお店です。被り物が好きな方には是非のぞいてほしいお店です。

「La Favorita CB」:ウェブサイトはこちらから。

 

 

王立ラ・エンカルナシオン修道院

マヨール広場を完成させたフェリペ3世の王妃マリガリータの命令て1611年に建てられた修道院。現在のスペインは宗教と政治は分立していますが、歴史的にスペイン王家と教会権力との結びつきは大変強く、歴代の王、王妃達は精力的に教会、修道院を建設してきました。中でもスペイン黄金期でもあったこの頃に立てられたこの修道院には、イタリア、ドイツ、オランダなどから届いたブロンズ、象牙、サンゴや木製の貴重な装飾品が700点以上保存されていて、その関係に想像を膨らませながら見学するにはとても興味深いスポットになっています。

ところがこの修道院の見所は宝石コレクションではなく、主祭壇に祭られた小さな聖遺物。それは聖人パンタレオンの血だと聞いたら、少し好奇心が湧いてきませんか?それも凝固している血痕が一年に一度液化するとか。

 

🔦 詳しい見学情報

所在地  Plaza de la Encarnación, 1 (SOL地区 ソル広場から徒歩8分。王宮のすぐ横)
開館時間 火曜日~土曜日 10時~14時/16時~18時30分
     日曜・祝祭日    10時~15時
休館日  月曜日+国家行事・特別祭事のある次の日付は例年休館
     4月8日~11日 / 5月1日 /12月24・31日
※また午後が休館となる日付もあるので、興味のある人は計画を立てる前にウェブサイトにて事前にご確認ください。
 
 
 
 

 

 

マドリード ソル広場周辺のお勧めレストラン・バル

 

ソル広場周辺にはバル、レストランがたくさんあるので予算、スタイル、おなかのすき具合で選び放題。食べるところに困ることはまずありえない地区です。

マヨール広場のすぐ隣にあるサン・ミゲル市場では出来立てのパエージャが気軽に食べられるばかりでなく、数種類の異なるパエージャの中から1人前から注文できるので、1人旅の方や少人数で異なった味を少しずつ食べて比べてみたい人にはとってもお勧めです。

サン・ミゲル市場は有名なメソン街とも呼ばれているCava de San Miguelという道に面しています。この道はマヨール広場が作られた頃に作られた道で、いくつかのメソンやレストランは文字通りマヨール広場の土台に埋まっているように作られていて、雰囲気満点!アストウリアス朝マドリードと呼ばれる旧市街の中でも、本当に歴史を感じられる道なので、メソンのはしごをして見てください。

あっと、その前に!絶対に忘れてならないのは伝説・老舗のレストラン『BOTIN』について触れておきましょう。このメソンのある道をずっとまっすく下へ歩いていくこと5分ほどのところに、マドリードで絶対に忘れてはならない伝説・老舗のレストラン『BOTIN』があります。こちらのレストランは“スペイン一古いレストラン”としてギネスブックに認定されているんですよ。伝統的なカスティーリャ料理、スペイン料理全般が食すことができます。お料理もさることながら、デザートにある「ロシア風ケーキ(Pastel ruso)」がとてもおいしいので、ここで食事をされる場合、是非デザートように隙間を残しておいてくださいね。

レストラン『BOTIN』を後にさらに前進すること1,2分すると一本の道路が交差しているので、その道路を渡り、左手前方にCalle de la Cava Baja(カバ・バハ通り)という道が始まります。この道はマドリードでピンチョスやタパスのはしごするのには大変お勧めの道

筆者も日本から友人が来たりした時に紹介するだけでなく、スペイン人の友人たちと週末のお昼に出かけたりするお気に入りのエリアで、カジュアルにおいしいものを、楽しい仲間とワイワイやりたい地元の人が集まる一押しのバル通りです。ベルモット、ワイン、ビール、チャコリなどともにタパス、ピンチョスを楽しむ人で昼も夜もどの店も大賑わい。空いているところがあれば入って一杯xピンチョス1品という感じで、はしごをするのが楽しいのですが、週末となれば混んでいて注文するのも一苦労なんてことも。ですからこの道でタパスやピンチョスをつまむなら、立ち食い覚悟でお出かけくださいね。概して小さなカウンターのお店が多いです。

また、スペインの扉の「マドリードで絶対食べて欲しいカジュアルグルメ厳選5品」という投稿ではお勧めマドリードのタパスのお店をご紹介しているので、よろしければそちらも併せてご覧ください。

 

 

 

 

マドリード ソル広場周辺の治安

 

ソル広場が極端に治安が悪いのか、と問われればそうではありませんが、ソル広場周辺はマドリード市市内では最も人通りの多い地区であるので、近距離で人とすれ違う確率が高い地区と言えます。また、ソル駅に乗り入れている地下鉄2番線も、地下鉄の中では最も乗車率の高い線になるので、いつ利用しても混んでいます。ですから地下鉄車内、地下鉄のエスカレーターや改札口でスリに狙われる確率も高いと言えます。そういった意味からも、人込みの多い場所では特に手荷物の持ち歩き方に注意を払う必要があります。このような場所を歩くときは、必ずリュックサックは体の前に担ぐ、ショルダーバッグも斜めにかけて体の前に持ってくる、立ち止まって何かを出したり地図を広げたりする場合には、背後から人が近づけないように壁を背中にして立ち止まるなど、小さな心がけをしているだけで未然に防げるでしょう。

スペインの扉では皆さんが楽しく、安全にスペイン旅行をしていただけるよう、「スペインの治安-旅行の計画を立てる前に知っておきたい現状と被害にあわないコツ」とという投稿内にて、筆者が普段からマドリードを歩く際に注意していることをご紹介しております。よろしければそちらもご参照ください。

 

 

 

 

スペインの扉お勧め マドリード ソル広場周辺ホテル

 

基本の市内観光を存分に楽しみたいと思っている方には、ソル周辺に宿を取るとメリットがたくさんあります。例えばソル広場からプラド美術館まで徒歩15分、王宮まで5分、マヨール広場5分、グラン・ビア通りまで5分、スペイン広場まで15分、マドリード市民に人気のバル通りにも15分。どこに行くにも徒歩で行けるので、頑張れる人なら地下鉄に乗る必要もありません。宿のタイプもアパートメント、オスタル、ホテル、B&Bなど豊富です。

ですが、アフターコロナ・ニューノーマルに適応するするのも添乗員や現地係員の同伴するツアーより個人旅行では言葉の壁、治安情報の更新、困ったときの便りが葉殿スタッフということは改めて認識しておいたほうがよいでしょう。そういった意味でも、スタッフの教育がきちんとされているホテルを選んでおく方が安心です。
一日中観光をして疲れた後に安心して、そして気持ちよくに帰れるような「旅先の家」選びは個人旅行では特に重要なポイント。ソル広場周辺の中でも

・抜群の立地
・設備
・スタッフの好感度

3つのポイントが抜群のホテルをご紹介します。

 

 

5★宮殿ホテル Palacio de los Duques Gran Meliá – The Leading Hotels of the World

マドリード 5星ホテル 5★の中でも最上級ランクの豪華ホテルは王宮、オペラ座からわずか5分という立地、設備、スタッフはもちろん、おそらくマドリード市内の5★ホテルのなかでもっとも眺望の良いルーフテラスがあること、19世紀の宮殿を改装した敷地内には、ここがマドリードの中心?と驚くほど優雅なパティオがあること、そしてアート好きにはたまらない、スペイン宮廷画家代表-ベラスケス絵画をテーマにした素晴らしい内装、そしてミッシュラン★付きレストランが館内にあること、など。観光で訪れているはずなのにホテルからでかけたくならないほどの空間です。

ホテル公式サイト

4★ホテル カタロニア ラス・コルテス

プエルタ・デル・ソル ホテルバルやレストランがたくさんある賑やかなサンタ・アナ広場から近いヨーロピアン調の落ち着いたホテル。お勧めは23㎡あるプレミアダブルルームですが、スタンダードでも20㎡弱もありマドリード市内の4★の中でもかなり広め。総合的に見て価格ⅹサービスⅹ+@のバランスが最高だと自信をもってお勧めいたします。ただし、ソル駅からスーツケースを持っている場合はスーツケースを引っ張りながら歩いていくには少し遠く感じるかもしれないので、アトーチャ駅などからタクシーでホテルまで乗り付けるのが無難です。

ホテル公式サイト

4★ホテル The First One Boutique Hotel

プエルタ・デル・ソル ホテル地下鉄駅「ソル/2番線」または「カジャオ/3番線」から徒歩5分以内というこれ以上にない素晴らしい立地条件。マドリード市内の4★の中では最高級ランクと言える設備はおしゃれで居心地、部屋の広さ、サービスは完全5★クラス。お部屋の防音もしっかりしているので立地の良さを最大に楽しめるホテルです。お勧めは23㎡もある広いダブルスーペリアルーム。空き室があったら仮予約だけはしておいて!大人気なのですぐに満室になります。

ホテル公式サイト

 

3★ホテル レヘンテ

プエルタ・デル・ソル ホテル 3★でこの質と広さ!と誰もが満足いくレヘンテもソル、グラン・ビア通り、エル・コルテイングレスから至近。特別内装に個性があふれているわけではありませんが、ウッドフロアーお部屋は常に清潔に保たれいて気持ちのよい滞在を保障してくれるので、観光客にもビジネス客にも利用しやすい理由です。サービス・客室・立地・コスパの総合ではこの界隈の3★ホテルでは抜群のお勧め度です。

 

ホテル公式サイト

 

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まとめ

マドリード市のソル広場周辺は観光、食、宿、ショッピングなど、総合的に見て、観光をするには本当に楽しく便利な場所。タパスをはしごできる通りも多く、一年中賑やかで、初めてマドリードに来る人も、マドリードに来るのが2回目以上の人もソル周辺にホテルを抑えると時間のロスも少なく大変お勧めです。

ただし、クリスマスイルミネーションの始まる11月末~1月6日は、クリスマスムードを楽しんだり、クリスマスギフトを買いに来る市民で賑やかを超えて歩けないほどになることもあります。もしもこの時期にマドリードに来る計画を立てている場合は、個人的には、治安面でも、落ち着けないという意味でも避けた方がいいかなとは思っています。

 

 

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 所要:12時間
 集合:8時30分
 世界遺産宙づりの家入場
 48時間前までキャンセル無料

 

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